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歯周病研究論文

歯周病治療・歯周病研究 論文紹介p025(no.086-090)

No.090
Nutrition, dietary guidelines and optimal periodontal health.

Kaye EK.

Periodontol 2000. 2012 Feb;58(1):93-111.


(私の感想など:前述のレビューと異なり、こちらは淡淡としている。葉酸、ビタミンC、ビタミンA、ビタミンE、ビタミンDとカルシウム、マグネシウム、オメガ3や6の多価不飽和脂肪酸、食物繊維、穀類、果物と野菜、大豆、アルコール、プロバイオティックス、ポリフェノールなど各栄養素、食品などについてコメントしている。

が、栄養素類が歯周組織の健康を促進するやら歯周病を改善するやらなどの根拠を示すには、不十分なデータしかない、というのが現状の結論だ。

歯周組織の健康にはこの栄養素がいいよ~と推奨するだけの根拠がないのだからしかたがない。)

(平成24年3月9日)


No.089
Micronutritional approaches to periodontal therapy.

Van der Velden U, Kuzmanova D, Chapple IL.

J Clin Periodontol. 2011 Mar;38 Suppl 11:142-58.


歯周炎は細菌の病原性因子とそれに呼応する宿主反応とのわずかなバランスの破綻から生じる。栄養因子は歯周炎と関連した幾つかの慢性炎症と関係している。この原稿は歯周病の病因と治療管理において、栄養素摂取に関するエビデンスをレビューし、ビタミンC(アスコルビン酸)、ビタミンD、カルシウム、と抗酸化物質に対する毎日の栄養摂取推奨をおこなう。歯周炎は低血清/血漿微量栄養素レベルと関連している。このことはニュートリゲノミクスの特性と同様に日常やライフスタイル因子に起因している。初期のエビデンスについて、栄養素の介入試験から有益な成果が示されている。そのため、ある種の栄養素の常時摂取は毎日の推奨される高いレベルの許容量でおこなわれるべきである、という主張が支持されている。

歯周炎の予防および治療のために、日々の栄養は十分な抗酸化物質、ビタミンD、とカルシウムが含まれるべきである。抗酸化物質が不十分な場合は野菜、ベリー、フルーツ(例えばキューイフルーツ)あるいは植物栄養素サプリメントの高度摂取によって改善されるかもしれない。現在のエビデンスでは、単一抗酸化ビタミンサプリメントの推奨を支持するには不十分で、将来の推奨を実証するエビデンスを提供するには、ランダム化コントロール二重盲検介入試験が必要である。ビタミンDとカルシウムが十分に摂取されていない場合には、食事/ライフスタイルや、サプリメントによる摂取で対応可能かもしれない。

(私の感想など:歯周病の治療として考えたとき、微量栄養素は有益か?

この著者らは、微量栄養素が歯周病を改善する、という報告をしていて「微量栄養素」に好意的な立場だ。だからその強調度はちょっと差し引いて読まなければならないかもしれない。

この論文は歯周病に良いという(歯周病との関連で研究されている)微量栄養素としてビタミンC、ビタミンDとカルシウム、抗酸化物質、オメガ-3 多価不飽和脂肪酸(エイコサペンタエン酸(EPA)、ドコサヘキサエン酸(DHA)などだ)などについて長々とレビューしている。文中の結論めいたところから、興味をひいた部分を抜き出してみると次のようになる。

ビタミンC不足は歯肉からの出血を伴う壊血病という病気を引き起こす。昔の船乗りさんで見られた病気だが、現代の生活では通常そんな病気は生じない。ビタミンCは必須の栄養素でコラーゲン代謝にも関わる抗酸化物質として知られる。ビタミンCに関しては、新鮮な果物や野菜から1日200mg摂取を薦めている(Levine2001)。

骨代謝に重要や役割を果たすのが、ビタミンDとカルシウムだ。またビタミンD欠乏は、癌、感染症、タイプI糖尿病などの疾患との関連もある。National Osteoporosis Foundation(NOP2008)の推奨として、カルシウム1000mg/日(50歳未満)、1200mg/日(50歳以上)、ビタミンD 400-800 IU/日(50歳未満)、800-1000 mg/日(50歳以上)とある。

歯周病との関連で研究されている抗酸化物物質には、ビタミンC、ビタミンE、カロテノイド、ポリフェノール、ビリルビン、GSH、尿酸、メラトニンなどがある。

この著者らはキウイフルーツがとってもお気に入りだ。ビタミンC摂取にはキウイフルーツが最もお勧めで、1日2個食べると歯周病患者にはいいことが起こるかも、とまで言っている(通常の食事とキウイフルーツ2個で1日200mg摂取できるらしい)。「一日2個のキウイフルーツで健康が得られる!」なんてこりゃニュージーランド農産物販促キャンペーンだね。

色々議論はあるし、楽観的なスタンスだとは前置きしながら、毎日適度に摂取すべき微量栄養素として天然の抗酸化物質、魚オイル(オメガ-3 多価不飽和脂肪酸)、ビタミンDとカルシウムだ、などと述べている。

最近のperiodontology2000にも「栄養素と歯周病」のテーマでレビューがでているようなので、またそれも見てみよう。)

(平成24年3月8日)


No.088
Relations of serum ascorbic acid and α-tocopherol to periodontal disease.

Iwasaki M, Manz MC, Taylor GW, Yoshihara A, Miyazaki H.

J Dent Res. 2012 Feb;91(2):167-72.


アスコルビン酸やα-トコフェロールなど血清抗酸化体の濃度低下は、口腔内健康と双方向性が認められる多くの炎症性疾患ハイリスクと関連がみられる。

71歳日本人224人の歯周病病態と血清アスコルビン酸およびトコフェロールとの関連性を、1999年から2007年のデータから利用して縦断的に検討した。血清アスコルビン酸とα-トコフェロールの三分位値で、被験者はグループ分けされた。ベースライン時と毎年のフォローアップ診査時に臨床的アタッチメントレベル(CAL)を測定し、全顎の歯周組織状態が評価された。研究期間中いずれかの時点で、CALが3mm以上喪失した歯の本数が歯周病イベントとして計測された。アスコルビン酸およびαトコフェロールを一次予知因子と考え、歯周病イベントの予知因子を評価するため、ポアッソン回帰分析が用いられた。

高、中、低三分位値における多変量調整相対リスク(95%信頼区間)は、それぞれアスコルビン酸に対して1.00(基準値)、1.12(1.01-1.26)そして1.30(1.16-1.47)であり、α-トコフェノールに対しては1.00(基準値)、1.09(0.98-1.21)、と1.15(1.04-1.28)であった。

我々の知見は、日本人高齢者におけるアスコルビン酸とα-トコフェロールの血清低レベルが歯周病に対するリスクとなっている仮説を支持している、と考えられる。



(私の感想など:アスコルビン酸とα-トコフェロールはそれぞれビタミンC、Eとして知られる抗酸化物質である。一方歯周病の進行と酸化ストレスとの関連性が指摘され、また歯周病治療によって酸化ストレスマーカーが低減することなども報告される。それで、抗酸化物質であるアスコルビン酸とα-トコフェロールの低下が、酸化物質に対する抵抗力を下げ、歯周病リスクとなるのではという仮説だ。

今回の経年的な調査研究から、年齢と人種に限定があるという条件つきで、全ての項目で統計学的な有意差がでたわけではないが、血清アスコルビン酸やα-トコフェロールが低いと、歯周病の進行リスクが高くなる傾向が示されたわけだ。研究の限界として、口腔内に関する情報や摂食状況が欠落していることを述べている。)



食事由来抗酸化物、酸化ストレス、栄養、縦断的研究、疫学、高齢者

(平成24年3月3日)


No.087
Periodontal disease: a new factor associated with the presence of multiple complex coronary lesions.

Romagna C, Dufour L, Troisgros O, Lorgis L, Richard C, Buffet P, Soulat G, Casillas JM, Rioufol G, Touzery C, Zeller M, Laurent Y, Cottin Y.

J Clin Periodontol. 2012 Jan;39(1):38-44.


骨吸収を随伴する歯周病は冠動脈疾患との関与が考えられている。多複合性冠動脈疾患は冠動脈プラークの多病巣的不安定性と関連している。我々は骨吸収が多複合性冠動脈疾患の存在と関連しているかどうかについて検索した。

この横断的研究には直近(1ヶ月)に心筋梗塞を起こした150人の被験者が含まれた。多複合性冠動脈疾患は冠動脈造影法で診断された。50%を越える骨吸収を含めてパノラマデンタルレントゲンが撮影された。単複合性冠動脈疾患あるいは冠動脈疾患のない患者が多複合性冠動脈疾患患者と比較された。

20%を越える患者が多複合性冠動脈疾患に罹患していた。複合性疾患を有する患者は女性である比率が低く、多枝疾患を有するか、C反応性タンパ(CRP)が上昇する傾向が見られた。多複合性疾患を有する患者では、骨吸収50%以上である頻度が高くなる傾向であった(p=0.063)。多変量解析において、多枝疾患、性別、とCRPが多複合性疾患と関連がみられた。骨吸収50%以上では、多複合性疾患のリスクが上昇した。

骨吸収は、全身的な炎症以上に多複合性冠動脈疾患と関連がみられた。これらの所見は冠動脈疾患の予防と治療に重要な臨床的意味を与えるものである。

(私の感想など:歯周病と心疾患との関連についての研究である。

考察の中からピックアップしてみる。動脈硬化巣であるアテローム性プラークの不安定化は急性病変の引き金となる。この不安定化メカニズムのひとつとして、口腔細菌が関与が考えられている。つまり歯周組織の病変部に存在する歯周病原性菌とよばれるような口腔細菌が、炎症巣から血管内に入り込み血流にのってアテローム性プラークへと到達して悪さを働くというものだ。事実、アテローム性プラークには、ある種の口腔細菌が存在すると報告されている。また一方、AaやPgが卒中リスクや心筋梗塞リスクと関連しているとの報告もある。さらに歯周疾患が心血管系疾患リスクをおおよそ24-35%上昇させると述べるシステマチックレビューもある。

梗塞の後に生じる急性冠状動脈疾患の再発には、多複合性疾患(MCL)が関連するという。このMCLの予知因子としてCPRや多血管性疾患がこれまで同定されている。

今回の研究から、著者らは「骨吸収」が新規の予知因子となりうると主張す。

「歯ぐきの腫れが心臓に悪い」とのキャンペーンが登場するのもこんな報告があるからだ。

歯周治療を行うことで、内皮細胞機能も改善するようなので糖尿病の場合と同様に、歯周病治療をおこなう方が心血管疾患のためにもよい、ということか。)



骨吸収、複合性多冠動脈疾患、冠動脈疾患、複合性冠プラーク、不安定化、歯周病

(平成24年3月1日)


No.086
Do probiotics offer opportunities to manipulate the periodontal oral microbiota?

Teughels W, Loozen G, Quirynen M.

J Clin Periodontol. 2011 Mar;38 Suppl 11:159-77.


保健医療の他分野でおこなわれているように、歯周病予防や治療にもプロバイオティックスが導入されてきている。

このレビューの目的は、プロバイオティックスが歯周組織細菌叢や歯周組織の健康に影響を与えるか否かについての検討を手引きすることである。

口腔バイオティクスの作用様式に関する文献がレビューされ、口腔プロバイオティックスの歯周組織健康に及ぼす微生物学的そして臨床的影響についてシステマティックレビューがおこなわれた。

3つの動物実験、11のヒト対象研究が検索された。6研究が微生物学的影響についての報告で、8研究が臨床的な効果についての報告であった。7研究は健康あるいは歯肉炎患者を、4研究は歯周病患者を対象にした研究であった。検索された研究の多くは本質的に試験的な研究であり、そして質の低い研究であった。研究間の不均一性が強く、これが分析の妨げとなっていた。

すべての限定を考慮すると、現在利用できるデータはプロバイオティックスの口腔細菌叢への影響と臨床歯周組織評価項目へのより限定的な効果を示していると言える。しかし、プロバイオティックスが、スタンダードな歯周治療の補助的療法として用いられ、適切に設定された臨床試験の早急な必要性がある。このプロバイオティックスは抗生剤の場合と同様に、少なくともインビトロレベルで歯周組織でのプロバイオティックスの有効性を示すプロバイオティック菌種を用いることが必要である。



(私の感想など:probioticって何だ。World Health Organization, and the Food and Agriculture
of the United Statesの定義では「適当な量を投与されたときに、宿主に対して健康な利益を提供する微生物」とある。

歯周病を悪化させる悪玉菌に対して、これを直接間接に押さえ込む善玉菌、あるいは宿主の生体応答を賦活化させたりすることのできる善玉菌を投与することで歯周病を治しちゃおうというやりかただ。こんなことが実現するなら、治療って楽ちん!?

歯周病の進行を決定づける要素に・宿主の病気に対する感受性・病原性細菌の存在・”有益な細菌”の減少あるいは不在という三点があるという。そこでprobioticsを応用して、例えば有益な菌の増加を図る、宿主の有益な生体応答を惹起させて、歯周病を改善させようとする試みで、「生物兵器」みたいなものだ。その作用機序には宿主の防御機能の修飾、歯周病原性細菌に対する抗細菌物質の産生、競争的排除などが考えられている。



この論文なかなか重厚で、しかも手厳しい。多くの論文がなってない、とお怒りモードだ。例を挙げていたのは、用いるプロバイオティックスの種特異性を記載してない研究まであると指摘している。

probioticsは直接的な細菌相互作用あるいは免疫修飾相互作用により口腔内細菌叢の改変や歯周組織の健康を向上させる可能性のあることが、研究データから示唆されている。著者らもプロバイオてぃっクスがダメだなんて一言も言ってはいない。しかし、今のところ統計学的に有意差がでるような著者らが納得できるようなデータは蓄積されていないということだ。)



歯肉炎、微生物学、口腔、歯周炎、歯周治療学、プロバイティックス、レビュー

(平成24年2月26日)


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