高齢者の口腔ケアについて

健康なお口の状態を維持することは、食事を快適に行うために欠かせません。食事は栄養を摂取するだけではなく、食べる楽しみをもたらして、生きる活力に繋がります。しかし、高齢で体が不自由になると、口腔ケアが不十分になり口腔機能にトラブルを引き起こしてしまうことがあるのです。お口と体は繋がっているため、体全体にも悪影響を及ぼします。実際に日本では要介護認定を受ける高齢者の数が増えており、十分な歯科医療・口腔ケアを受けられない方も多くなってきています。
健康寿命を伸ばすための口腔ケア
日本は世界的に見ても非常に長寿の国です。しかし、健康的に長寿というわけではなく「ベッドに寝たきりで外に出歩けない」「さまざまな疾患を抱えている」などという方も増えつつあります。 そのような状況においては、お口のケアが不十分であったり、合わない入れ歯を装着していたりと、さまざまな口腔トラブルも発生しやすくなります。真の意味で「長寿」を実現し、高齢者の方が健康で快適な生活を送るために、継続的に歯科治療を受け続けていただくことは非常に重要です。
平均寿命と健康寿命の違い
令和3年7月30日に厚生労働省が公表した「令和2年簡易生命表」によると、日本の平均寿命は男性81.64歳 女性87.74歳となっています。 しかし、この平均寿命に関しては心身の健康は考慮されていません。 日常的に介護を受けず、自立した生活を送ることの可能な期間を健康寿命と呼びます。健康寿命に関しては、厚生労働省が公表した「健康寿命の令和元年値」によると、男性が72.68歳、女性が75.38歳です。つまり平均寿命と健康寿命には大きな差があり、この差を縮めることが緊急の課題になっています。
高齢者の入れ歯について

当院では、ピッタリと合う入れ歯で不自由なく日常生活を送っていただけることを重視しています。本当にその人に合った入れ歯は、おいしく食事ができて、他の残っている歯を守ることにもつながります。もし入れ歯に少しでも違和感があれば、ぜひ当院までご相談ください。
噛むことの重要性
噛むことの重要性は、食べ物を咀嚼する役割だけに留まりません。まず食事の際に顎を動かすと唾液の分泌が促されます。すると、食べカスや細菌を洗い流してくれて虫歯や歯周病予防になります。また、顎、舌、筋肉が連動すると、脳や体にも刺激が伝わるので、老化対策にも結びつくと言われています。
入れ歯の種類
保険の入れ歯

保険診療の入れ歯はプラスチック製の素材で作製手順も国から定められています。その分費用がリーズナブルで、どこの歯科医院でも修理しやすいのがメリットです。一方で強度を保つために厚めに作製することから、装着時に違和感や圧迫感を覚える方もいらっしゃいます。
ノンクラスプデンチャー(自費)

通常の入れ歯は残っている歯に金属製の金具をひっかけて装置を固定します。そのような金具が存在しないタイプの入れ歯がノンクラスプデンチャーです。特殊なプラスチック製の義歯床で支えるため、外から入れ歯をしていると気づかれにくくなります。
ノンクラスプデンチャーのメリット・デメリット
Meritメリット
- 金具が見えないので、入れ歯と気付かれにくいです。
- 金属を使用しないため、金属アレルギーの心配がありません。
- 使用時の違和感を減らす効果が期待できます。
Demeritデメリット
- プラスチック製なので一定の厚みがあります。
- 保険適用外のため、自由診療となります。
金属床義歯(自費)

入れ歯の床の部分が金属でできています。そのため保険の入れ歯に比べると、薄く作製しても強度が保たれるのがメリットです。また熱伝導性に優れていて、食べ物の温度をじっくり体感できます。一方で金属アレルギーの方には適応できない可能性もあります。
金属床義歯のメリット・デメリット
Meritメリット
- 保険診療のプラスチックより頑丈で、薄く加工できます。
- 金属を土台に使うため、頑丈に作成でき、しっかり噛めます。
Demeritデメリット
- 歯ぐきが痩せてくると調整しにくいです。
- 保険適用外のため、自由診療となります。
入れ歯の費用
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ノンクラスプデンチャー
¥33,000~¥275,000 -
金属床
¥165,000~¥385,000
※歯数・構造により金額が変動します
※表記は税込価格です
入れ歯の治療回数、期間
治療回数 | 5~7回 |
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治療期間 | 1ヵ月~2ヵ月 |
歯科医院に通えない方は訪問診療へ
歯科治療はもちろん、口腔ケアにも対応しています
定期的にメインテナンスに通っていた方でも、体が不自由になると口腔内にトラブルが増加します。お口のケアを継続し、全身の健康を守るうえでも、「できるだけ多くの方に歯科治療を受けていただきたい」といった思いから当院は訪問歯科診療に対応しています。
