歯周病治療・歯周病研究 論文紹介p102(no.471-475)
No.475
The influence of the interaction between staging, grading and extent on tooth loss due to periodontitisAndrea Ravidà , Musa Qazi , Maria V Rodriguez , Matthew Galli , Muhammad H A Saleh , Giuseppe Troiano , Hom-Lay Wang
J Clin Periodontol 2021 May;48(5):648-658.
この研究の目的は、長期フォローアップ期間中に歯周炎が理由で生じる歯の喪失(TLP)を予測しうる、ベースラインのステージ、グレードそして範囲の、2方向性相互作用を評価することである。完全な病歴、ベースライン時チャート、全顎のエックス線画像、そして最低>=10のフォロー期間がある、歯周治療患者が募集された。サポーティブペリオドンタルセラピー(SPT)受診が、全フォロー期間中記録された。患者はステージ、グレード、と範囲に従って分類された。10、20、30年フォロー後の絶対生存率はTLPに対して計算された。Kaplan-Meierの生存曲線が歯のレベルでプロットされ、階層的患者-歯構成を考慮に入れることで、予知変数とTLP間の関連を評価するために、multilevel cox regression frailtyモデルが構築された。
平均23年のフォロー期間である、442人の患者(11,125歯)が包括基準を満たし、この研究に含まれた。ベースライン時最も多かった診断はステージIIIグレードB(30.3%)、続いてステージIIグレードB(23.5%)であった。解析したパラメーターの中で、ステージとグレードはTLPの最も良い予知因子であることがわかった。重度疾患(ステージIVあるいはグレードC)患者においてのみ、半に対して統計学的に有意な差が見られた。multilevel cox regression解析から、併記ベースラインステージとグレーディングが高くなると、フォロー期間のTLPがより大きくなっていた。
併記したステージングとグレーディングが高くなると、TLPに対するより大きなリスクに対応し、そして、広汎型はステージIVあるいはグレードCの疾病患者においてのみ有意な予知因子になる。
(歯周炎、サポーティブペリオドンタルセラピー、歯の喪失)
「 被験者総数442人中、ステージIIIグレードBが最も多くて134人、続いてステージIIグレードBとステージIIIグレードCがそれぞれ104人、72人と続いていた。これは、他の報告と似たり寄ったり。一方少ない方は、ステージIグレードCが0人で、ステージIVグレードAが3人、ステージIIIグレードAが8人、そしてステージIIグレードAが11人であった。ステージIの段階で、グレードCに該当する患者を見つけることは、今の検査方法では極めて困難と述べている。そらそうだろう。
グレードAではステージ間で比較してもTLPに差は見られなかった。これは、グレードA患者に対して抜歯処置をおこなうことは稀である、ということ。
ステージIIIグレードCとステージIIグレードC被験者のTLPを比較すると、最初の10年では前者の方がTLPが高いのに対し、10年後では逆転していた。ステージIIIグレードC被験者は、治療初期で抜歯にいたる処置がより多かったためであろう。
メインテナンス/SPT期間中には、その進行度に影響する要因も変化する。たとえば、喫煙者が禁煙した場合である。」
(令和3年5月31日)
平均23年のフォロー期間である、442人の患者(11,125歯)が包括基準を満たし、この研究に含まれた。ベースライン時最も多かった診断はステージIIIグレードB(30.3%)、続いてステージIIグレードB(23.5%)であった。解析したパラメーターの中で、ステージとグレードはTLPの最も良い予知因子であることがわかった。重度疾患(ステージIVあるいはグレードC)患者においてのみ、半に対して統計学的に有意な差が見られた。multilevel cox regression解析から、併記ベースラインステージとグレーディングが高くなると、フォロー期間のTLPがより大きくなっていた。
併記したステージングとグレーディングが高くなると、TLPに対するより大きなリスクに対応し、そして、広汎型はステージIVあるいはグレードCの疾病患者においてのみ有意な予知因子になる。
(歯周炎、サポーティブペリオドンタルセラピー、歯の喪失)
「 被験者総数442人中、ステージIIIグレードBが最も多くて134人、続いてステージIIグレードBとステージIIIグレードCがそれぞれ104人、72人と続いていた。これは、他の報告と似たり寄ったり。一方少ない方は、ステージIグレードCが0人で、ステージIVグレードAが3人、ステージIIIグレードAが8人、そしてステージIIグレードAが11人であった。ステージIの段階で、グレードCに該当する患者を見つけることは、今の検査方法では極めて困難と述べている。そらそうだろう。
グレードAではステージ間で比較してもTLPに差は見られなかった。これは、グレードA患者に対して抜歯処置をおこなうことは稀である、ということ。
ステージIIIグレードCとステージIIグレードC被験者のTLPを比較すると、最初の10年では前者の方がTLPが高いのに対し、10年後では逆転していた。ステージIIIグレードC被験者は、治療初期で抜歯にいたる処置がより多かったためであろう。
メインテナンス/SPT期間中には、その進行度に影響する要因も変化する。たとえば、喫煙者が禁煙した場合である。」
(令和3年5月31日)
No.474
The staging and grading system in defining periodontitis cases: consistency and accuracy amongst periodontal experts, general dentists and undergraduate studentsLorenzo Marini , Maurizio S Tonetti , Luigi Nibali , Mariana A Rojas , Mario Aimetti , Francesco Cairo , Raffaele Cavalcanti , Alessandro Crea , Francesco Ferrarotti , Filippo Graziani , Luca Landi , Nicola M Sforza , Cristiano Tomasi , Andrea Pilloni
J Clin Periodontol 2021 Feb;48(2):205-215.
この研究の目的は歯周炎のステージングとグレーディング分類システムの一致性と正確さを評価することである。
30人の被験者(10人の歯周専門医、10人の一般歯科医と10人の学生)と標準診査者が、25の書面上の歯周炎症例を二度分類するように質問された。Fleiss kappaが診査者の一致性を評価するのに用いられた。クラス内相関係数(ICC)は時間間の一致性を計測するのに用いられた。Quadratic weighted kappaと標準診査者に対する完全一致の割合が正確さを評価するために計算された。
ステージ、範囲、そしてグレードに対するFleiss kappaはそれぞれ、0.48、0.37と0.45であった。最も高いICCはステージに対する学生によるもの(0.91)であり、最も低いICCは範囲に対する一般歯科医であった(0.79)。標準評価者に対する一対比較はステージに対し>0.81とグレードと範囲に対する>0.41のkappa平均値を示した。症例遅疑の全ての三要素に対して、標準評価者と一致を満たしたのは症例の47.2%であった。この研究は一致性と正確さの低さと関連した特殊な要因を認めた。
診断は異なる時におこなっても高い一致性があり、被験者間では中等度の一致性があった。正確さはステージに関してはほぼ理想的で、グレードと範囲は中等度のできであった。一般歯科医のトレーニングを向上させるための追加の努力が必要だ。
(分類、データの正確さ、診断、歯周炎、結果の再現性)
「ステージ、グレード、範囲の全てで標準評価者と一致したのは、全体の47.2%であった。ステージはその一致率は76.0%、範囲は82.6%、グレードは71.4%であった。ステージは専門医が82.0%で最も高く、学生が81.6%そして一般歯科医が64.4%であった。ところが、範囲やグレードでは専門医より学生の方が標準評価者との一致率が高かった(範囲:専門医84.0%、一般歯科医76.4%、学生87.6%、グレード:専門医72.4%、一般歯科医67.6%、学生74.4%)。専門医も形無しだね。
標準診査者、Gold-standard examinerはセカンドオーサーMST。そらそうだね。彼が作って決めた分類だから。
範囲の一対一致が低かったのは、決めたステージである歯の割合ではなく全ての歯周炎部位を評価したからだろう、と考察している。そらそうだ。2018年の論文でも2019年のimplementationでもそんなこと書いてないからね。2020年Sanzの論文は引用しているけど。」
(令和3年4月29日)
30人の被験者(10人の歯周専門医、10人の一般歯科医と10人の学生)と標準診査者が、25の書面上の歯周炎症例を二度分類するように質問された。Fleiss kappaが診査者の一致性を評価するのに用いられた。クラス内相関係数(ICC)は時間間の一致性を計測するのに用いられた。Quadratic weighted kappaと標準診査者に対する完全一致の割合が正確さを評価するために計算された。
ステージ、範囲、そしてグレードに対するFleiss kappaはそれぞれ、0.48、0.37と0.45であった。最も高いICCはステージに対する学生によるもの(0.91)であり、最も低いICCは範囲に対する一般歯科医であった(0.79)。標準評価者に対する一対比較はステージに対し>0.81とグレードと範囲に対する>0.41のkappa平均値を示した。症例遅疑の全ての三要素に対して、標準評価者と一致を満たしたのは症例の47.2%であった。この研究は一致性と正確さの低さと関連した特殊な要因を認めた。
診断は異なる時におこなっても高い一致性があり、被験者間では中等度の一致性があった。正確さはステージに関してはほぼ理想的で、グレードと範囲は中等度のできであった。一般歯科医のトレーニングを向上させるための追加の努力が必要だ。
(分類、データの正確さ、診断、歯周炎、結果の再現性)
「ステージ、グレード、範囲の全てで標準評価者と一致したのは、全体の47.2%であった。ステージはその一致率は76.0%、範囲は82.6%、グレードは71.4%であった。ステージは専門医が82.0%で最も高く、学生が81.6%そして一般歯科医が64.4%であった。ところが、範囲やグレードでは専門医より学生の方が標準評価者との一致率が高かった(範囲:専門医84.0%、一般歯科医76.4%、学生87.6%、グレード:専門医72.4%、一般歯科医67.6%、学生74.4%)。専門医も形無しだね。
標準診査者、Gold-standard examinerはセカンドオーサーMST。そらそうだね。彼が作って決めた分類だから。
範囲の一対一致が低かったのは、決めたステージである歯の割合ではなく全ての歯周炎部位を評価したからだろう、と考察している。そらそうだ。2018年の論文でも2019年のimplementationでもそんなこと書いてないからね。2020年Sanzの論文は引用しているけど。」
(令和3年4月29日)
No.473
Effect of compliance during periodontal maintenance therapy on c-reactive protein levels: a 6-year follow-upFernando Oliveira Costa , Rafael Paschoal Esteves Lima , Sheila Cavalca Cortelli , Adriana Moreira Costa , José Roberto Cortelli , Luís Otávio Miranda Cota
J Clin Periodontol 2021 Mar;48(3):400-409.
本研究の目的は、C反応性タンパク(CRP)に及ぼすメインテナンス(PMT)期間中の影響と歯周組織状態との関連性を縦断的に評価することである。
30人の適合させた一対群からなるサブサンプルがPMT下6年の過去の縦断研究から抽出された。年齢と性別を一致させた一対の群は、規則正しい遵守者(RC)と不規則な遵守者(IC)からなっていた。歯周組織パラメーターと血清サンプルは三度集められた:T1[アクティブな歯周治療(APT)前]、T2(APT後)、そしてT3[6年後]。CRP血清レベルはELISAを用いて定量した。
RCはより良好な臨床的歯周組織状態、歯周炎の低い再発(その後のリコール評価どこかの期間で、BOPそして/あるいは排膿の持続そして/あるいは存在ともに、PD≧4mmかつCAL≧3mmの部位)そして期間中VRPレベルの有意な減少[(T1:
RC = 3.64 ± 2.13 and IC = 3.92 ± 2.02 mg/L) and (T3: RC = 2.12 ± 1.39 mg/L
and IC = 3.71 ± 1.82 mg/L)]を呈していた。ロジスティック回帰分析から、歯周炎の再発被験者は、歯周炎再発のない被験者よりも、CRPレベルの変化(values
≥3 mg/L- T2 to T3)を示す可能性が2.19倍高かった(95%CI:1.16-3.27; p = 0.017)。
RCと比較してIC群では、高いCRP血清レベルが歯周炎の高い再発と臨床的歯周パラメーターの悪化と関連していた。
(コンプライアンス、C反応性タンパク、メインテナンス、歯周炎)
「歯周炎患者では、全身レベルで急性期タンパク、血清抗体レベル、凝固因子、総白血球数、好中球、CRPやいくつかのサイトカインが増加している。急性期タンパクの1つ、CRPは急性の組織損傷の24-48時間以内に血清、血漿中で上昇し、炎症や外傷の改善で減少する。感染の経過を把握するのに、非常に有用な指標である。そして、歯周炎でも上昇することが報告され、歯周治療によって低下することが知られている。しかし、アクティブな歯周治療を受けている患者CRPを調べる前向き研究、そしてメインテナンス治療における前向き研究はほとんと見られない。
PMT期間中にBOPが見られないことは歯周組織の安定化の良い指標である。<30%出血部位の患者でBOPのない≦4mmポケットは、歯周組織のアタッチメント維持できる良好な状態と報告されている。このことに加えて、RC患者のCRP血清レベルはT3時点でのBOPと相関していることが示された。
本研究から、再発患者の高値CRPレベルは再発していない患者の2.19倍高く、IC患者のそれはRC患者に比較して2.85倍高くなっていることが示された。PMT6年間の定期的なコンプライアンスは、アクティブな歯周治療後得られた、臨床的およびCRPレベルの恩恵を維持
させていた。」
(令和3年3月27日)
30人の適合させた一対群からなるサブサンプルがPMT下6年の過去の縦断研究から抽出された。年齢と性別を一致させた一対の群は、規則正しい遵守者(RC)と不規則な遵守者(IC)からなっていた。歯周組織パラメーターと血清サンプルは三度集められた:T1[アクティブな歯周治療(APT)前]、T2(APT後)、そしてT3[6年後]。CRP血清レベルはELISAを用いて定量した。
RCはより良好な臨床的歯周組織状態、歯周炎の低い再発(その後のリコール評価どこかの期間で、BOPそして/あるいは排膿の持続そして/あるいは存在ともに、PD≧4mmかつCAL≧3mmの部位)そして期間中VRPレベルの有意な減少[(T1:
RC = 3.64 ± 2.13 and IC = 3.92 ± 2.02 mg/L) and (T3: RC = 2.12 ± 1.39 mg/L
and IC = 3.71 ± 1.82 mg/L)]を呈していた。ロジスティック回帰分析から、歯周炎の再発被験者は、歯周炎再発のない被験者よりも、CRPレベルの変化(values
≥3 mg/L- T2 to T3)を示す可能性が2.19倍高かった(95%CI:1.16-3.27; p = 0.017)。
RCと比較してIC群では、高いCRP血清レベルが歯周炎の高い再発と臨床的歯周パラメーターの悪化と関連していた。
(コンプライアンス、C反応性タンパク、メインテナンス、歯周炎)
「歯周炎患者では、全身レベルで急性期タンパク、血清抗体レベル、凝固因子、総白血球数、好中球、CRPやいくつかのサイトカインが増加している。急性期タンパクの1つ、CRPは急性の組織損傷の24-48時間以内に血清、血漿中で上昇し、炎症や外傷の改善で減少する。感染の経過を把握するのに、非常に有用な指標である。そして、歯周炎でも上昇することが報告され、歯周治療によって低下することが知られている。しかし、アクティブな歯周治療を受けている患者CRPを調べる前向き研究、そしてメインテナンス治療における前向き研究はほとんと見られない。
PMT期間中にBOPが見られないことは歯周組織の安定化の良い指標である。<30%出血部位の患者でBOPのない≦4mmポケットは、歯周組織のアタッチメント維持できる良好な状態と報告されている。このことに加えて、RC患者のCRP血清レベルはT3時点でのBOPと相関していることが示された。
本研究から、再発患者の高値CRPレベルは再発していない患者の2.19倍高く、IC患者のそれはRC患者に比較して2.85倍高くなっていることが示された。PMT6年間の定期的なコンプライアンスは、アクティブな歯周治療後得られた、臨床的およびCRPレベルの恩恵を維持
させていた。」
(令和3年3月27日)
No.472
The impact of smoking on non-surgical periodontal therapy: A systematic review and meta-analysisJennifer Chang , Hsiu-Wan Meng , Evanthia Lalla , Chun-Teh Lee
J Clin Periodontol. 2021 Jan;48(1):60-75..
喫煙は歯周炎にとってリスク因子である。この研究の目的は非外科的治療の臨床成績に及ぼす喫煙の影響を評価することである。
2020年4月までに出版された研究をスクリーニングするために、電子データベースが検索された。含まれた研究は歯周炎に罹患する喫煙者(S)と非喫煙者(NS)の2群を持つ必要があった。評価された成績は、非外科的歯周治療後のプロービングデプス(PD)の減少と臨床的アタッチメントレベル(CAL)獲得における群間の差である。メタ回帰が成績と他の寄与因子間の関連性を評価するためにおこなわれた。
17研究が含まれた。S群における治療後のPD減少はNS群におけるそれよりも小さかった(weighted mean difference in
PD reduction:−0.33 mm, 95% confidence interval (CI): [−0.49, −0.17], p
< .01). S群におけるCAL獲得もまた、NS群よりも小さかった(weighted mean difference in CAL gain:−0.20
mm, CI: [−0.39, −0.02], p < .01)。加えて、ベースライン時のPDは2群間のPD減少における差に有意な影響を与えていた。
喫煙は非外科的歯周治療へ臨床的な反応に対して負の影響を与えていた。歯周炎の喫煙患者は非喫煙者よりもPD減少やCAL獲得が有意に少ない。
(喫煙、スケーリング、 エビデンスに基づく歯科医療、ルートプレーニング、治療結果)
「喫煙は自然免疫から獲得免疫に至る宿主の免疫反応に影響を与える。またニコチンはコラーゲン産生とともに、血管増殖、線維芽細胞の増殖や接着を抑制する。
喫煙は歯肉縁下細菌叢に影響を与えるという報告もある一方で、喫煙者と非喫煙者間で歯周病原菌には差が見られなかったとする報告もある。
喫煙が非外科的な治療に対する反応性を損ねるという数多くの研究があるが、差がないとする研究もあった。今回のメタ解析では喫煙者は非喫煙者に対して、PD減少とCAL獲得において有意な差をもって小さいことが示されたが、その差はPD減少で0.33mm、CAL獲得で0.20となり、臨床的には中等度の影響と思われた。
深いポケット(>=5)のPD減少でいえば、2群間のPD減少の差は0.5mmと大きくなっていた。しかし、深いポケットにおけるPD減少を報告していたのは4研究だけであった。
フォロー期間も臨床成績に影響するが、今回の対象となった研究は1-3ヶ月から12ヶ月と差がであった。喫煙以外に口腔清掃状態やコンプライアンスなどの交絡因子もある。
元喫煙者についての評価はできていない。
喫煙本数や期間も臨床成績に影響するであろう。」
(令和3年2月28日)
2020年4月までに出版された研究をスクリーニングするために、電子データベースが検索された。含まれた研究は歯周炎に罹患する喫煙者(S)と非喫煙者(NS)の2群を持つ必要があった。評価された成績は、非外科的歯周治療後のプロービングデプス(PD)の減少と臨床的アタッチメントレベル(CAL)獲得における群間の差である。メタ回帰が成績と他の寄与因子間の関連性を評価するためにおこなわれた。
17研究が含まれた。S群における治療後のPD減少はNS群におけるそれよりも小さかった(weighted mean difference in
PD reduction:−0.33 mm, 95% confidence interval (CI): [−0.49, −0.17], p
< .01). S群におけるCAL獲得もまた、NS群よりも小さかった(weighted mean difference in CAL gain:−0.20
mm, CI: [−0.39, −0.02], p < .01)。加えて、ベースライン時のPDは2群間のPD減少における差に有意な影響を与えていた。
喫煙は非外科的歯周治療へ臨床的な反応に対して負の影響を与えていた。歯周炎の喫煙患者は非喫煙者よりもPD減少やCAL獲得が有意に少ない。
(喫煙、スケーリング、 エビデンスに基づく歯科医療、ルートプレーニング、治療結果)
「喫煙は自然免疫から獲得免疫に至る宿主の免疫反応に影響を与える。またニコチンはコラーゲン産生とともに、血管増殖、線維芽細胞の増殖や接着を抑制する。
喫煙は歯肉縁下細菌叢に影響を与えるという報告もある一方で、喫煙者と非喫煙者間で歯周病原菌には差が見られなかったとする報告もある。
喫煙が非外科的な治療に対する反応性を損ねるという数多くの研究があるが、差がないとする研究もあった。今回のメタ解析では喫煙者は非喫煙者に対して、PD減少とCAL獲得において有意な差をもって小さいことが示されたが、その差はPD減少で0.33mm、CAL獲得で0.20となり、臨床的には中等度の影響と思われた。
深いポケット(>=5)のPD減少でいえば、2群間のPD減少の差は0.5mmと大きくなっていた。しかし、深いポケットにおけるPD減少を報告していたのは4研究だけであった。
フォロー期間も臨床成績に影響するが、今回の対象となった研究は1-3ヶ月から12ヶ月と差がであった。喫煙以外に口腔清掃状態やコンプライアンスなどの交絡因子もある。
元喫煙者についての評価はできていない。
喫煙本数や期間も臨床成績に影響するであろう。」
(令和3年2月28日)
No.471
Periodontal infrabony defects: Systematic review of healing by defect morphology following regenerative surgeryLuigi Nibali , Duaa Sultan , Claudia Arena , George Pelekos , Guo-Hao Lin , Maurizio Tonetti
J Clin Periodontol. 2021 Jan;48(1):100-113.
骨内欠損の形態は歯周組織再生治療の成績に影響を与えると考えられている。しかし、系統だっては調べられていない。
骨内欠損の再生治療を報告している論文において、どのように欠損形態を調査しているかについて、そして臨床的およびエックス線写真的成績への影響をしらべることが目的である。
欠損形態によって分類された再生治療の後に、骨内欠損の臨床的およびエックス線的成績を報告している出版物に対して、3つの電子データベースにおいて検索が行われた。
最初の検索で4487論文が得られ、一次そして二次スクリーニングで143に減少した。これらの出版物のうち15が固定効果メタ分析に適していた。最初の欠損深さが術後12ヶ月、エックス線的骨獲得に影響を与えていることが見いだされ、一方狭い角度と骨壁数の増加は12ヶ月時点でエックス線的骨獲得と臨床的アタッチメントレベル(CAL)獲得の両方に影響していた。これらの関連性は用いた生物学的材料にかかわらず生じていると思われた。バイアスリスクは低度から高度の幅があった。
狭い骨欠損角度と骨壁数の多い、深い欠損は術後12ヶ月後の再生治療において、CAL改善とエックス線的骨の獲得を示していた。頬舌側面への広がりなどの、他の骨欠損形態についてさらなるデータが必要である。
(骨内欠損、骨欠損、歯周炎、再生)
「 EMD(負荷材のあるなしも含め)やGTRなど用いた材料に関わらず、骨欠損深さが3-4mmの場合に比較すると、4mmを超える欠損ではおよそ0.7mmのエックス線的骨の獲得が見られた(強いレベルのエビデンス)。しかし、ベースライン時の欠損深さと、臨床的に意味あるCAL成績は関連が見られなかった。
狭い欠損角度はエックス線的骨獲得とCAL獲得(<37度で1mm)と関連があった。
壁数の多いほどエックス線的骨獲得とCAL獲得(1,2、3壁と、壁数があがると0.5mm)と関連があった。
壁数に関しては複合型欠損と分類されるものが31-56%と高い。欠損依存性の効果として、欠損を満たす割合が95%(3壁性)、82%(2壁性)そして39%(1壁性)との方向がある一方、そのような効果が弱いあるいはほとんどないとの報告もある。
骨欠損の頬舌方向への回り込みやクレーター骨欠損は、術式や術後成績に影響を及ぼすと考えられるが、対象となった論文には記述はなかった。
骨欠損形態が再生治療の成績に影響を与えるので、骨欠損形態をどのように記述するか、あるいはよい定義づけがあれば治療方法の選択の手助けとなるであろう。トネッティさん、新分類に続いて新骨欠損分類を提案されるのかも。」
(令和3年1月31日)
骨内欠損の再生治療を報告している論文において、どのように欠損形態を調査しているかについて、そして臨床的およびエックス線写真的成績への影響をしらべることが目的である。
欠損形態によって分類された再生治療の後に、骨内欠損の臨床的およびエックス線的成績を報告している出版物に対して、3つの電子データベースにおいて検索が行われた。
最初の検索で4487論文が得られ、一次そして二次スクリーニングで143に減少した。これらの出版物のうち15が固定効果メタ分析に適していた。最初の欠損深さが術後12ヶ月、エックス線的骨獲得に影響を与えていることが見いだされ、一方狭い角度と骨壁数の増加は12ヶ月時点でエックス線的骨獲得と臨床的アタッチメントレベル(CAL)獲得の両方に影響していた。これらの関連性は用いた生物学的材料にかかわらず生じていると思われた。バイアスリスクは低度から高度の幅があった。
狭い骨欠損角度と骨壁数の多い、深い欠損は術後12ヶ月後の再生治療において、CAL改善とエックス線的骨の獲得を示していた。頬舌側面への広がりなどの、他の骨欠損形態についてさらなるデータが必要である。
(骨内欠損、骨欠損、歯周炎、再生)
「 EMD(負荷材のあるなしも含め)やGTRなど用いた材料に関わらず、骨欠損深さが3-4mmの場合に比較すると、4mmを超える欠損ではおよそ0.7mmのエックス線的骨の獲得が見られた(強いレベルのエビデンス)。しかし、ベースライン時の欠損深さと、臨床的に意味あるCAL成績は関連が見られなかった。
狭い欠損角度はエックス線的骨獲得とCAL獲得(<37度で1mm)と関連があった。
壁数の多いほどエックス線的骨獲得とCAL獲得(1,2、3壁と、壁数があがると0.5mm)と関連があった。
壁数に関しては複合型欠損と分類されるものが31-56%と高い。欠損依存性の効果として、欠損を満たす割合が95%(3壁性)、82%(2壁性)そして39%(1壁性)との方向がある一方、そのような効果が弱いあるいはほとんどないとの報告もある。
骨欠損の頬舌方向への回り込みやクレーター骨欠損は、術式や術後成績に影響を及ぼすと考えられるが、対象となった論文には記述はなかった。
骨欠損形態が再生治療の成績に影響を与えるので、骨欠損形態をどのように記述するか、あるいはよい定義づけがあれば治療方法の選択の手助けとなるであろう。トネッティさん、新分類に続いて新骨欠損分類を提案されるのかも。」
(令和3年1月31日)