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歯周病研究論文

歯周病治療・歯周病研究 論文紹介p016(no.050-052)

No.052
Clinical and microbiological effects of azithromycin in the treatment of generalized chronic periodontitis: a randomized placebo-controlled clinical trial.

Sampaio E, Rocha M, Figueiredo LC, Faveri M, Duarte PM, Gomes Lira EA, Feres M.

J Clin Periodontol. 2011 Sep;38(9):838-46.


この研究の目的は、スケーリングとルートプレーニング(SRP)の付加的治療として、アジスロマイシン投与の効果を評価することである。40人の被験者が、SRP単独か、5日間アジスロマイシン(500mg/日)との併用療法とに割り当てられた(n=20/群)。臨床的そして細菌学的検査がベースライン時、SRP後の6ヶ月時そして1年時におこなわれた。被験者一人あたり9つのプラークサンプルがチェッカーボードDNA-DNAハイブリダイゼーション法が40細菌種に対し解析された。群間の差はマンホイットニーテストで評価され、経時的にはフリードマン、ダンテストで評価された。処置1年後評価された全てのパラメーターに対し、群間にいかなる統計学的な有意差もみられなかった。両処置群ともに、PD7mmの部位においてベースライン時と1年後間で平均プロービング深さ(PD)は同等に減少し(SRP: 3.83 ± 1.92, AZM: 3.45 ± 1.74)、平均臨床アタッチメントも改善がみられた(SRP: 2.35 ± 1.70, AZM: 2.68 ± 1.76)。治療後、幾つかの歯周病原因菌の平均カウントと割合は増加し、宿主に有益な菌種のそれらは減少した。それにもかかわらず、この研究期間を通じて、両群でレッドコンプレックス菌種の重要な再コロニー形成が観察された。

この研究のデータから、広汎型ChPの治療に際し、AZMの付加的な有益性のないことが示唆された。



(私の感想など:このグループはNo.51論文でアモキシシリンとメトロニダゾールの組み合わせの付加的抗菌治療は効くと述べていたた。それに対して、アジスロマイシンは効かん、言っているわけだ。

アジスロマイシンは長期に投与しなくて済むので、使いやすい抗生剤なのだが、、、それがダメって言われると辛いなあ。いけるよ、って報告もあるけど、どうもアジスロマイシンは分が悪いようだ。)

アジスロマイシン、慢性歯周炎、細菌学、歯周病、スケーリングルートプレーニング

(平成23年10月26日)


No.051
Clinical and microbiological benefits of metronidazole alone or with amoxicillin as adjuncts in the treatment of chronic periodontitis: a randomized placebo-controlled clinical trial.

Silva MP, Feres M, Sirotto TA, Soares GM, Mendes JA, Faveri M, Figueiredo LC.

J Clin Periodontol. 2011 Sep;38(9):828-37.


この研究の目的は、広汎型慢性歯周炎(ChP)の治療において、メトロニダゾール(MTZ)あるいはMTZ+アモキシシリン(AMX)の付加的使用の効果を評価することである。

51人の被験者(n=17/群)がスケーリング・ルートプレーニング(SRP)治療のみを受ける群、SRPにMTZ(400 mg 1日3回)14日服用群、あるいはMTZ+AMX(500mg
1日3回)14日服用群 とにランダムに割り当てられた。臨床的そして細菌学的検査がベースライン時とSRP3ヶ月後におこなわれた。9つのプラークサンプル/被験者がチェッカーボードDNA-DNAハイブリダイゼーション法にて40種の細菌種に対して解析された。MTZ+AMX投与を受けた被験者は、SRP処置のみの被験者と比較して、3ヶ月後に臨床的アタッチメントのより大きな平均ゲイン、中等度と深い部位でのプロービング深さ(PD)の減少、PD5mm部位の割合が低くなっていることが示された。SPR処置にMTZ+AMX投与をおこなった群は、レッドコンプレックス病原因子のレベルも割合も有意に減少した唯一の治療法であり、SRPのみに比較して細菌プロファイルが有意により好ましい変化を示した。SRPに加えてMTZ+AMXの併用使用は、広汎型ChPに罹患した非喫煙被験者の治療に際し、SRP単独に比較して、短期間の臨床的そして細菌学的に好ましい効果を示された。SRPとMTZの併用効果は低かった。



(私の感想など:歯周病抗菌療法に関する論文である。アモキシシリンとメトロニダゾールの組み合わせは最も有名なものである。3ヶ月ではあるが、菌もへって、歯周病状態も改善するという。おこなっている研究自体は目新しい物ではないが、AMX+MTZの併用療法にお墨付きがひとつついたということか。メトロニダゾール単独の併用療法もあるが、この研究では、少なくともアモキシシリンとメトロニダゾールの組み合わせよりは効果がすくないようだ。

しかしメトロニダゾールは歯科に適応がないので、保険診療内でおこなう歯周病の治療としては日本では利用できない。 同じ号にこのグループのアジスロマイシン利用の報告もあるので、次はそちらを紹介する)

アモキシシリン、慢性歯周炎、メトロニダゾール、細菌学、歯周病、スケーリングルートプレーニング

(平成23年10月22日)


No.050
Relationship between saturated fatty acids and periodontal disease.

Iwasaki M, Manz MC, Moynihan P, Yoshihara A, Muramatsu K, Watanabe R, Miyazaki H.

J Dent Res. 2011 Jul;90(7):861-7. Epub 2011 Apr 19.


飽和脂肪酸(SFAs)は炎症反応を生じさせる。過剰な炎症反応は、歯周病において病因因子に対する機序因子のひとつとして現在認識されている。 2003から2004年における、75才の264人の日本人に対し、栄養食品としてのSFAsと歯周病との縦断的な関連が調べられた。SFA摂取は自記入式食事履歴調査票から評価された。被験者はSFA摂取の四分位数で分類された。臨床的アタッチメントレベル(CAL)として測定された、全顎的な歯周組織の状態がベースライン時とフォローアップ時に記録された。1年以上どこかの部位で3mm以上のCAL喪失があった歯の本数が「歯周病イベント」として計算された。歯周病イベントへの影響を評価するために、主要な予測項目として栄養素SFAを用いて、ポアッソン回帰解析がおこなわれた。高いSFA摂取は非喫煙者の中では歯周病イベント数と有意な相関が見られた。SFAの第一、二、三、四の四分位における多変量調節相対危険度
(95% 信頼区間)はそれぞれ、 1.00、 1.19 (0.72-1.97)、 1.55 (0.95-2.52)と 1.92 (1.19-3.11)であった。これらの結果は、日本の高齢非喫煙者における歯周病の進行に、SFA摂取が独立して関与していることを示唆している。



(私の感想など:飽和脂肪酸は動物性脂に多く含まれ血中コレステロールや心疾患のリスクをあげるので悪玉のように言われる物質である。その飽和脂肪酸が高齢者には歯周病リスクになるという。縦断的研究といっても1年だし、高齢者と言っても被験者は75才だけなので、さらなるエビデンスが必要だが歯周病を気にする人は食べ物にも気をつけた方がいいかも。参考~DHA、EPAのp010no037


歯周病、飽和脂肪酸、栄養素、炎症、縦断的研究

(平成23年10月20日)







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