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歯周病研究論文

歯周病治療・歯周病研究 論文紹介p105(no.486-490)

No.490 The effect of omega-3 fatty acids on active periodontal therapy: A systematic review and meta-analysis

Myrlon M Van Ravensteijn, Mark F Timmerman , Ester A G Brouwer , Dagmar Else Slot
J Clin Periodontol 2022 Oct;49(10):1024-1037.

  ω3脂肪酸を用いた宿主修飾治療(HMT)は炎症の減少を標的としている。付加的な治療としてHMTを用いることで、歯周治療のよりよい結果が期待される。このシステマティック・レビューとメタ解析(MA)の目的は、プロービングポケットデプス(PPD)と臨床的アタッチメントレベル(CAL)に関して、 ω-3 脂肪酸の、非外科的歯周治療(SRP)への付加的影響を調べることである。
SRP/プラセボをコントロール、SRP/ω-3脂肪酸をテスト群として治療を行ったランダム化比較試験について、2021年1月まで、慢性歯周炎患者におけるランダム化MEDLINE-PubMed とCochrane-CENTRALライブラリで検索された。
173の重複のないアブストラクト同定され、スクリーニングにより10の適格論文が得られた。記述的解析から、比較の大多数でω-3脂肪酸群の有効を支持するPPDとCALへの有意な影響が示された。SRPに対するω-3脂肪酸の付加的な使用は、SRP単独に比較して、0.39 mm 以上 PPD 減少 (95% CI: -0.58; -0.21) と0.41 mm 以上のCAL 獲得(95% CI: -0.63; -0.19) がみられることを、MAは示した。
歯周炎患者において、SRPに加えて、ω-3脂肪酸の栄養サプリメントは、PPD減少やCAL改善に対してSRP単独に比べてより効果的である。SRPがなされるなら、ω-3脂肪酸の使用がPPD減少とCAL獲得への中等度付加的な効果が考えられるかもしれない。この推奨の強さは中程度である。
(DHA、EPA、オメガ-3、歯周治療、歯周処置)
「n-3系多価不飽和脂肪酸であるエイコサペンタエン酸(EPA)やドコサヘキサエン酸(DHA)は抗炎症作用が有り、PGE2や炎症性サイトカインを抑制する。さらにEPAやDHAから生成されるレゾルビン、プロテクチンには抗炎症作用のあることが知られている。
レビューをおこなった研究では、おおよそ2000mg/日のEPAやDHA利用が、日々のサプリメントとして、炎症のコントロールに充分量であることが示唆されている。それ以下を用いた研究では臨床成績の改善がみられていない。1000mgのω3飽和脂肪酸からは約300mgのEPAと、あるいはDHAが供給される。フィッシュオイルを心血管疾患、メタボリック症候群、2型糖尿病などの慢性疾患に対する治療および予防的効果を期待して用いる場合には、2-6g/日のω3脂肪酸が用いられるようである。結論的には、1日2000mgのω3脂肪酸の併用がSRP単独に比較して、臨床的な効果が期待できるように思える。ただし、ω3多価脂肪酸単独では、すなわちSRPをおこなわない場合には、PPDやCALに変化はなかった、という報告がある。」
(2023.2.26)

No.489 Long term comparison of the prognostic performance of PerioRisk, periodontal risk assessment, periodontal risk calculator, and staging and grading systems

Muhammad H A Saleh , Himabindu Dukka , Giuseppe Troiano Andrea Ravidà , Musa Qazi , Hom-Lay Wang, Henry Greenwell J Periodontol. 2022 Jan;93(1):57-68.

 臨床家はリスク評価に個人の判断を主に用いる。歯周病リスク評価ツール(PRATs)は個人の治療ニーズに基づいて、患者を層別化するために効果的で論理的なシステムを提供する。このレトロスペクティブな研究は、4つのPRATs(ステージとグレード、Periodontal Risk Assessment (PRA)、Periodontal Risk Calculator そしてPerioRisk)の異なるリスク分類の歯周炎に関連した歯の喪失(TLP)との関連性を検証することである。
病歴、喫煙状態、と臨床的歯周パラメーターに関するデータが、外科的および非外科的歯周治療を受けた患者から収集された。リスクツール分類間で、TLPと非歯周炎関連の歯の喪失(TLO)の割合の比較が、Kruskal-Wallis test と Bonferroni testを用いたpost-hocにより行われた。 TLPにおいて、おのおのの単一リスク評価ツールクラスに対する予知の重要性を分析するために、 単および多変量 Cox Proportional hazard regression モデルが構築された。
26年の平均期間のフォローアップされた4321歯、総数167患者が4つのPRATに割り当てられた。クラス/ステージIと比較して、PerioRiskクラス5は18.43のハザード比、ステージ4は7.99のハザード比、そしてPRAクラス3はハザード比6.13であった。予後診断のパフォーマンスに関して、PerioRiskは最も良い識別力とモデルを示し、PRAが続いた。
全てのPRAはTLPの非常に良い予知力を発揮し、PerioRiskが最良の識別力とモデル適合を示し、PRAがそれに続いた。
(アタッチメントロス、歯周、歯周炎、リスク因子評価、歯の喪失、検証試験)
「PerioRiskが最も良い識別能力を有していた。クラスIをreferenceとしてクラス3,4,そして5には有意差があったが、クラスI1 vs クラス2あるいはクラス3 vs クラス4には差がなかった。各サンプルサイズが小さかったためと考えられるが、差がないカテゴリーは統合するという考えもある。
TLPに対してはPRATの価値は高いが、OTLに対しては有効性は低くなっていた。Ravidaらは、ステージ、グレードのTLPに対する予知力は高いが、OTLに対しては良くない、と報告している。
PRATはベースライン時、あるいは治療後のパラメータを用いて、その予後を評価しているが、治療時の抜歯や治療による歯周組織の改善は、PRATの予後判定に影響をするため、初診時の検査値等を用いる場合より、治療後の検査値等を用いた方が、予知ツールとしての評価は高くなる。ちなみに、PeriRiskやPRAは後者のタイプである。」
(2022.12.4)

No.488 Association between coffee consumption and periodontal diseases: a systematic review and meta-analysis

Yeonjae Rhee , Yongjun Choi , Jeongmin Park , Hae Ryoun Park , Kihun Kim , Yun Hak Kim
BMC Oral Health. 2022 Jul 5;22(1):272.

コーヒーの消費と歯周疾患との関連性を示す研究がいくつか存在する。しかしながら、システマティックレビューもメタ解析も行われていない。それ故、我々はコーヒー摂取と歯周炎との関連性を評価することを目的に、システマティックレビューとメタ解析をおこなった。
「コーヒーの飲料者はコーヒー非飲料者よりも歯周炎とのあるいは歯の喪失との関連性が高い」と、我々はPICOの重要課題として定義した。我々はEmbaseとMedline databasesを用いて論文検索をおこなった。コーヒーと歯周炎との間の関連性を評価するために測定効果としてオッズ比が用いられた。我々は、コーヒー摂取濃度を3群に分けた。すなわち、非摂取(≤ 0.03 カップ/日), 低摂取 (0.03 < x < 1 カップ/日)、と高摂取 (≥ 1 カップ/日)。コホートと横断的研究がこの研究の適格基準であった。Newcastle–Ottawa scaleがバイアスリスクの定量的評価に用いられた。
2つのコホート研究と4つの横断的研究の、6論文が解析された。歯周炎のプールした調整オッズ比は、4つのメタ解析(コーヒー飲料者 vs. コーヒー非飲料者、高摂取 vs. 低摂取、低摂取 vs. 非摂取、高摂取 vs.非摂取) でそれぞれ、1.14 (0.93–1.39), 1.05 (0.73–1.52), 1.03 (0.91–1.16) and 1.10 (0.84–1.45)であった。
これはコーヒー消費と歯周炎との関連性を検索した最初のメタ解析である。コーヒー消費と歯周炎との間には関連性はなかった。コーヒー消費と歯周炎との間に関連性が存在するかどうかを評価するためには、さらなる研究が必要である。
(コーヒー、歯周炎、歯の喪失、観察研究、システマティックレビュー、メタ解析)
「コーヒーはアルツハイマー病、パーキンソン病、2型糖尿病、肝がん、心臓発作のリスクを低めるという報告がある。対照的に、不眠症、不穏状態、高血圧を引き起こすので、有害であるとも報告されている。コーヒーは慢性炎症に好ましい影響を与えるという報告がいくつか存在する。
歯周病については歯周炎のリスクであるという報告と関連が見られなかったという相反する報告がある。またコーヒーは口腔細菌種の豊富さを亢進することが示されている。このように全身疾患、慢性炎症、あるいは歯周病に対して、コーヒーの影響は様々なのである。」(2022.10.5)

 

No.487 Recurrence and progression of periodontitis and methods of management in long-term care: A systematic review and meta-analysis

Natalie M Leow , Federico Moreno , Debora Marletta , Syed Basit Hussain , Jacopo Buti , Neil Almond , Ian Needleman
J Clin Periodontol. 2022 Jun;49 Suppl 24:291-313.

 

この研究の目的は、以前に歯周治療を受けて、長期のサポーティブペリオドンタルケア(SPC)中の人々の疾患再発を評価し、再発管理の異なる方法の効果を決定するために、系統だって文献をレビューすることである。このレビューはステージIV歯周炎にフォーカスを当てた。
前向き臨床研究に対して電子検索が行われた(2020年5月まで)。歯の喪失が主要評価項目だった。
長期のSPCにおける疾患の再発を扱うために、24文献が検索された。8研究が歯の喪失に対するメタ解析に含まれ、そして疾患の進行/再発(臨床的アタッチメントレベル[CAL]loss≧2mm)に対しては3研究であった。5ー20年のSPCにおける患者に対して、1本以上の喪失率は9.6%(95% CI 5%-14%)であったのに対し、CAL ロス≧2mmを1部位以上の経験者は24.8%(95%信頼区間[CI]11%-38%)であった。6研究が再発管理の異なる方法の効果について触れていたが、方法間の優越性についての明確なエビデンスはなかった。ステージIV歯周炎に対して特異的なデータは何も見いだせなかった。
ステージIII/IV歯周炎患者のごく一部で、長期SPCにおける歯の喪失を経験していた(期間とともに有病率は増加する傾向)。定期的なSPCは歯の喪失を減少させるのに重要のように思える。疾患の再発をコントロールする、優れた方法は見られなかった。
(メインテナンス、進行、再発、サポーティブペリオドンタルケア)
「メタ解析から歯の喪失経験者は9.6%(95%CI 5ー14%)であった。5ー10年のフォローでは歯の喪失経験者は8.2%(95%CI 3ー13%)で10年を超えるとその割合は12.7%(95%CI4ー22%)と増加していた。メタ解析に含まれなかった研究では、患者1人当たりの平均歯の喪失は0ー2.7(±3.7)で、これはSPCのフォロー期間によって大きく影響を受けていなかった。サブ集団の解析から、不規則なSPC群における歯の喪失経験者は11.9%(95%CI 5ー19%)であったのに対し、定期的な3ヶ月ごとのSPCリコール受診患者において、歯の喪失経験者の割合は8.0%(95%CI2ー14%)であった。)
CAL loss≧2mmが少なくとも1部位を経験した患者は、24.8%(95CI 11-38%)と評価された。
サブ集団解析で、不定期のSPC群におけるCAL loss≧2mmを経験者の割合は21.4%(95%CI 10-33 %)であったのに対し、3ヶ月ごとのSPCを受けた患者は30.2%(95%CI 2-63%であった.フォロー期間が10年を超えて長くなると、5ー10年群における22.1%(95% CI5-39%)に比較して、アタッチメントロスを示したのは26.3%(95%CI 8-45%)であり、わずかに高い割合であった。」(2022.9.12)

 

No.486 Evaluation of periodontal indices among non-smokers, tobacco, and e-cigarette smokers: a systematic review and network meta-analysis

Paolo Pesce , Maria Menini , Giovanni Ugo , Francesco Bagnasco , Mario Dioguardi Giuseppe Troiano
Clin Oral Investig. 2022 Jul;26(7):4701-4714.

 

歯周組織の健康に対する喫煙の悪影響はよく知られているが、電子タバコの歯周パラメーターへの影響はあまりよく調べられていない。このシステマティックレビューの目的は3つのカテゴリーに分けた患者の歯周組織指数を比較することである。すなわち、従来型の喫煙者(TS)、電子タバコ喫煙者(ES)と非喫煙者(NS)である.
MEDLINE (PubMed)、ISI Web of ScienceとScopus上で、2021年12月まで出版された研究に対して、電子検索がおこなわれた。加えて手検索が行われた。従来型の喫煙者(TS)、電子タバコ喫煙者(ES)と非喫煙者(NS)内で、歯周組織指数を検索している臨床観察と横断的研究が含まれ、2人の独立したレビューアーによって選択された。プロービングデプス(PD)、プラーク指数(PI)とプロービングの出血(BOP)についてのデータが収集された。NIH質的評価ツールに従って、バイアスリスクが評価され、ネットワークメタ解析(NMA)が用いられた。
同定された707のうちから5つの関連研究が含まれた。総数512人の患者が含まれ、そのうち170がNS、176がTS、そして166がNSであった。TS vs NS: 効果量= 3.297 (95%CI: [2.142-4.454], p = 0.001)内での比較、そして TS とESの比較で、 効果量= 2.507 (95%CI: [1.351-3.663], p = 0.001)、の有意な差がPDに対して確認された。TSとNS内、効果量 = 21.34 (95%CI: [13.41-29.27], p = 0.001) と、TS とES間で、効果量= 15.67 (95%CI: [7.73-23.62], p = 0.001)、の有意な差がPIに対して認められた。   BOP値はESとNS間: 効果量= – 16.22 (95%CI: [- 22.85 to – 9.59], p < 0.001) と、TSとNS間:効果量= – 14.47 (95%CI: [- 21.103 to – 7.848], p < 0.001)で有意な差を認めた。SUCRA順位を基にすると、NSはPDとPIに対して、最も好ましい成績を示し、ESが続いた。タバコ喫煙者は、明確に最も良くない順位であった。BOPについては、ESが最も好ましい成績で、TSが続いた。NSが最もよくない順であった。
歯周組織指標はNSとES間で類似し、TSが最も悪い指数であった。BoPはESとTSで減少していた。
(システマティックレビュー、ネットワークメタ解析、喫煙者、タバコ、電子タバコ)
electronic cigarette smokers (ES)と effect size (ES)で同じ略語を用いてるのが、変。
TSはBOP少ないけれどPIもPDも、NSに比べて悪い。それに対してESはというと、こちらもNSに比較して同じく悪い。PIは喫煙と直接関係ない気がしますけど。口腔健康への無関心さ故か。
面白いのはESはTSに比べてPIが高いのに、BOPが最も低い、メカニズムは明確には解明されていないが、喫煙のBOP抑制効果はよく知られている。電子タバコの喫煙も酸化ストレス、炎症反応、やDNA傷害を亢進するなどが、影響するのかも知れない。
ニコチン吸引の毎日の頻度がESに比較して、TSでは約2倍であった。
吸引習慣の時間はESはTSよりもより短かった。さらに言うと、参加者は相対的に若い人であった。
喫煙と歯周病の関係は濃度依存的で濃度-持続時間依存的であることが知られている。5年以上で15回/日の人は5年未満で10回/日未満の人より、歯周組織の炎症に対する感受性がより強いとの仮説がなされている。
今回対象とした歯周組織の指数だけで言えば、BOPを除いて、ESとNSとは同程度で、TSは最も悪い値を示していた。だからといって、ESには歯周組織に対する悪影響がない、という訳ではないだろう。(2022.8.8)
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